呼吸のように・・・

俳句のエッセー

浮葉

浮葉。うきは。
今頃、蓮池には、小さな葉がたくさん出て、
水面を埋め尽くしています。
これが、浮葉。
そして、池には鯉が泳いでいます。
小さな小さな稚魚もたくさんいて、
浮葉の周りをにぎやかにしています。
が、この小さな子たちは、近寄ってよく見ないとわかりません。
そこへ、密集した浮葉の一つが、ぐらっと動きました。
気のせいではなく、また、ぐらりと動きます。
水の中に何かいるようですね。
ふと、綺麗な模様が見えました。緋鯉です。
鯉は、浮葉を順に揺らしながら、
こちらへ近寄ってきます。
鯉の姿は見えず、ただ、浮葉が揺れるだけです。
浮葉の揺れに知らされて、鯉の行方を目で追います。
のんびり、鯉は泳いでいるようでした。
本当に、ものすごい勢いで、自然は夏へ向かっていきます。
もったいなくて、少しの間ものんびりしていられません。
大好きな夏は、日ごとに、その頂点へ向かっていくようです。