呼吸のように・・・

俳句のエッセー

芭蕉の杖

くねくねと芭蕉の杖のうららけし......和生

大津、義仲寺。
松尾芭蕉の杖が置かれています。
驚くほど細い杖です。
椿の木だとのことで、くねくねとしていました。
「うららけし」という季語がぴったりの杖でした。
この杖で、行脚なさったのだと思うと、
言葉に詰まります。
ガラスケースに入れられて、寝かされて、置かれていました。
皆、この杖を目の前にして、芭蕉翁に語りかけるのでしょう。
杖を見つめて、無口にたたずむ人の姿が見られます。
義仲寺は、それほど広くはありませんが、
歴史を感じさせる密度の濃い空間です。