呼吸のように・・・

俳句のエッセー

なんどき?

なんどきと蛙つまめる子に問はれ.......和生

「おじさん、今、何時?」
元気に遊んでいる子供の姿が浮かびます。
夢中で遊んでいる子供たち。
カエルを捕まえて、おもちゃにして、
大人が見れば、かわいそうなことを、
幼いころは、私もしていました。
そろそろ日も傾いてきて、時間が気になりだしたのでしょう。
もちろん、時計はありません。
それで、そのあたりにいた大人に、時間を尋ねます。
「ねえ、おじさん」
ふいに声をかけられて、振り向く作者の前に、
カエルをつまんだ少年が、見上げていました。
「今、何時?」
まだ、遊び足りない少年に、時間を告げる作者。
「ありがとう」と言ったかどうか。
まだ、もうちょっとだけ居られそうだと、
少年たちは、カエルをつまんだまま、駆け出して行きました。
水辺に日が満ちて、少年の後姿をまぶしく見つめる作者に、
少年の作者の姿が重なって見えたかもしれません。
自分の来し方、少年の未来が、ふと通り過ぎたような
夕暮れだったように感じます。