呼吸のように・・・

俳句のエッセー

鴇色(ときいろ)

日本の鴇は、絶滅しましたが、
お隣の中国からいただいて、鴇は増えつつあります。
学名、ニッポニア・ニッポン
それほど、かつては日本の空を行き交う、珍しくない鳥でした。
羽の下の方が朱色をしていて、
これを「鴇色」と言います。

田植女や天つ白山鴇色に....和生
「雉」主宰、田島和生先生のこの句は、目の前の白山の景色がよくわかります。
「鴇色」という言葉は、知っていても、あまり耳にしない言葉になりました。
鴇そのものが、なじみのない鳥になったからでしょう。
鴇色、といっても、イメージが伝わらないからかもしれません。
また、一方で、鴇色の「鴇」の持つ言葉のイメージから、
この句の白山は、特別なイメージを感じることもできます。
「鴇色」の言葉により、麓に住む方にも稀少な白山の絶景を思わせます。

福山での同人会は、私が初めて出席した同人会でした。
ビギナーズラックでしょう、田島先生の特選をいただき、
この句の短冊を賜りました。
その日は私の誕生日で、二重の喜びがありました。
先生のこの俳句は、私にとっても、特別な俳句なのです。