呼吸のように・・・

俳句のエッセー

鶏が鳴く前に…

主イエスが、御受難を前に、ペトロに語られた言葉。
「鶏が鳴く前に、あなたは、三度、私を知らないと言うであろう」。
ペトロは、絶対、そのようなことはないと信じていましたが、
そのことは起こりました。
エスを慕い、捕えられたイエスを追って、大祭司の館へ侵入します。
ちりじりに逃げてしまった弟子たちのうち、ペトロだけがイエスを追いました。
しかし、その場において、ペトロは主を拒絶したのです。
「あんな人は知らない」
その時、鶏が鳴きました。

ふと、口から出まかせを言うこともあります。
嘘は、大きなものから小さなものまで、心の隙を狙って来ます。
ペトロも同じだったことでしょう。
その後、激しく泣いたペトロは、しかし、
より一層、強い信徒として、蘇りました。
過ぎ去った時は、取り戻すことはできません。
過去は変えられないのです。しかし、
「過去の意味は変えられる」
そのような説教がありました。確かにその通りだと思います。
過去は変えられなくても、過去の意味は変えられます。
それは、取り返しのつかない絶望的なことではなく、
そのことがあったからこそ、という希望へつながるのです。
「過去の意味は変えられる」
時は流れ、世の中は絶えず変化しています。
過去の意味は、失敗は、
考えられないような恵みに変えられることでしょう。
そのような事実は、歴史に溢れているではありませんか。
信じて進むことに致しましょう。