呼吸のように・・・

俳句のエッセー

金縷梅

金縷梅の花は、頼りなく見えます。
花弁がひらひらと、よじれているからでしょう。
見ると、蕾は、長方形の短冊を丸めたような花びらで成っていて、
まるで紙を解くように、その花びらを伸ばして開花します。
大きいとは言えない花は、枝に頼りなくくっついて、
春の霞の空のように、ぼんやりとした様子に思えます。
空に浮かんでいる太陽は、春の霞の中。
月は朧になることでしょう。
同じように、金縷梅は、
木々の中でも、おぼろげに花を咲かせているのです。
春は、その暖かさと大気のにごりで、
頭の中も霞んでいるような気分になるようですね。
春愁という言葉。
季節の持つ雰囲気と相反するこの感覚は、
ほかの季節にはありません。
金縷梅を眺めては、この感覚を映した花のように思えました。