呼吸のように・・・

俳句のエッセー

左義長

左義長の案内が来ました。
こちらは、14日とのことです。
火入れは午後5時30分。
それまでに持ち込んでくださいとありました。

かつては、お鏡の橙や柿など持ち込んだものですが、
今では、生物はダメ。燃えにくいもの厳禁です。
夜中、いつまでも燃えていた記憶で行くと、
すでに火は小さくなっていたこともありました。

火入れの前は、祝詞が上げられ、
お神酒を地に降り注ぎます。
火が入り、炎が立ち上がると、吉書が舞い、爆音が山を打ち戻り、
火の粉が闇の天から零れ落ちてきます。
やがて赤く燃え上がった竹は撓い、崩れてゆきます。

あれだけ闌けていた炎は、竹にくすぶり、風に瞬くくらいに弱まっていきます。
左義長の火が果てると、あたりはいきなり寒さに包まれました。
たくさんの足跡で土に汚れた雪は、たちまち凍り付き、
足跡はそのまま凍てて、パリパリと音を立てるだけです。

左義長には、たくさんの呼び名があります。
どんど・吉書揚げ・爆竹・飾焚き…などです。
詠みたい内容によって、季語を選びます。

次週、金沢句会の兼題は「左義長」。
左義長の前に詠まねばならず、きつい課題です。
しかし、季語は先取りが良しとされていますので、
そのつもりで句作していかねばならないでしょう。
俳句は、楽をさせてはくれませんね。