呼吸のように・・・

俳句のエッセー

掛大根

今頃、畑には立派な大根が成っています。
とくに、菜の部分が見事に広がって、ふさふさしています。
つやつやとした菜っ葉をみると、おいしそうで、ついお料理を考えてしまいます。
大根菜はビタミンAに優れ、油と併せて摂ると効率的です。
ちなみに、
ビタミンAと申しましたが、正確にはカロチンです。
ビタミンAそのものは、動物性食品にしか含まれず、
カロチンは、植物性食品にのみ含まれます。
両者がともに扱われるのは、カロチンは小腸で分解され、
ビタミンAと同じ働きをするようになるためです。
食品成分表では、ビタミンA、カロチン、ビタミンA効力と三つ表記されています。
「ビタミンA効力」の値を用いて、「ビタミンA」の値とみます。

田舎では、掛大根が見られます。
大根は華やかに吊るされて、一列に、あるいは、二段、三段に。
田の中や、納屋の軒先や様々なところに見ることができます。
ふと目をやると、太々とした大根が、軒に吊るされていました。
真っ白な大根、菜は青々として竿に結ばれています。
おいしそうで、お料理するのが待ち遠しいことでしょう…などと考えてながめていると、
その竿の向こうに、なんと洗濯物がかけられていました。
竿は、物干し竿だったのです。
見てはならぬものを見てしまった、気まずい思いで目をそらし、
さっさとその場を立ち去りました。
この大らかさが、田舎のいいところでもあるのですが…
掛大根の風景は、特に珍しいものではないということかもしれません。
ある意味で、とても豊かな生活の一場面だと言えるでしょう。