呼吸のように・・・

俳句のエッセー

ラピスラズリ

辻家庭園の群青の間は、
秋の日差しに眩しいほどの鮮やかな青色でした。
明治期の日本家屋は、縁側がぐるりとめぐっていて、
低い秋の日差しが、畳の部屋を明るくしています。

群青の壁は、あの「ラピスラズリ」なのだそうです。
ですから、百年経とうと、何年経とうと、鮮やかな色を保っているのだそうですよ。
このようなところで、ラピスラズリの名を聞こうとは、思ってもみませんでした。

ひときわ高い木は、欅。
紅葉が進んで目を引きます。
雲一つない秋晴れの空に、鳶がみるみる小さくなって、円を描いていました。
水音が絶えない名園は、起伏があって、歩くと実際よりも広く感じます。
秋の日はすぐに傾き、三日月よりもちょっと太った月が、
うっすらと浮かんでいました。

秋の日差しを惜しみつつ、
贅を尽くした旧男爵邸を楽しんで来ました。