呼吸のように・・・

俳句のエッセー

猪の親子

森林公園。
谷へ下ったところに、猪が飼われていて、
上からのぞくと、灰色の毛並みを艶めかせ、
そこここに猪がたたずんでいるのが見えます。
遠目でははっきりしませんが、もしや、こちらを覗っているのかもしれません。
じっと動かずに瞳をこちらに向けている一頭は、岩のようでもあります。
猪は、豚と似ていると言われています。
そのイメージで想像していましたが、
思いのほか、足は長く、引き締まっていました。
池があり、雨後の水をさらに濁して、猪は鳴きます。
甲高い声が、谷底から伸びている木々に響き渡りました。
さらに高い声が貫きます。
それは、瓜坊でした。
親の後を短い尻尾を振って、トコトコついていきます。
群れにはたくさんの親子がいるようで、
子供は各々の母親を追って歩いていました。
野生であれば、雪が降る前に南下する猪ですが、
この公園では、小屋に入れられるのでしょうか?
雪が降れば、足の短い猪はお腹が閊えて歩けなくなる、
と聞きましたが、頭に描いたイメージより、ずっと長足の猪。
野生の猪たちは、まだ、このあたりを荒らしているのかもしれません。

瓜坊の花野の寝床月のぞく......欣一

猪にも、もうすぐ冬がやってきます。