呼吸のように・・・

俳句のエッセー

稲筵

稲が実っています。
一枚ごとに、稲の品種が違うようで、
一枚ごとに、趣を異にした「稲筵」です。

稲筵は、金色の棚のようです。
稲の一枚の平面は、若干の段差を持ち、
一枚、一枚、登っていけそうな錯覚を与えます。

白鷺が止まっています。
金色の稲の中に、白鷺の白は、隠れることができません。
ゆっくりと近づいて行きますが、悠々と動く気配がなさそうです。
ですが、ある距離になると、ふっと飛び立っていきました。
鳴きながら、くるくると鳴きながら、何枚もの稲筵を超えて行ってしまいました。
白鷺は、稲筵の美しさをさらに美しく、彩を添えました。

山の青さが近い、秋の風景です。