呼吸のように・・・

俳句のエッセー

病葉

木製品が多数出土した、縄文時代の遺跡、「桜町遺跡」。
高床式建物や竪穴住居、環状木柱列が再建されています。
年々、グレードアップして、栃の木や桜の木が植えられ、
木舟が作られ、土器が飾られ、ヒョウタンが成り、
時代を忘れてのんびりできる空間です。

小流れに栃の木が植えられていました。
どれだけ経ったのでしょうか。まだ、大人の身長を少し超えた程度です。
細い幹の若木に、栃の大きな葉が開いていました。
ですが、病葉も目立ちます。
枝ごと枯れてぶら下がっている下に、色を失いつつある弱弱しい葉があり、
葉の先は萎えて、中心に向かって巻きつつありました。
夏の暑さは、まだこれから。
大丈夫でしょうか。持ちこたえるでしょうか。
心配になります。

縄文人たちは、栗や栃やドングリを食べていました。
特に栗は栽培もしていたようで、
木の成長を、同じように見守っていたことでしょう。
日照りの時はどうしていたのでしょうか。
大雪の時は…。
様々な疑問がわきます。
縄文人を人として身近に感じるとき、
想像の世界が広がり、いにしえの時を愛おしむ思いになるのです。