呼吸のように・・・

俳句のエッセー

夜回り

金沢の町を歩いていると、
角の向こうから、拍子木の音が聞こえてきました。
声はなく、独特の打ち方だったように覚えています。
伝統なのでしょうか。
今ではお店が多くなり、新しい通りもできて、人も入れ替わったでしょうに、
それでも夜回りは町内で続けられているのですね。
金沢らしいことだと思いました。

「夜回り」は、冬の季語です。
火の用心を訴えるのは、やはり冬ですね。
ですから、夏に「夜回り」は使えませんので、
「拍子木の音」として写生しました。
宵の町中は涼しさが感じられ、気持ちのいい空気を胸に吸い込みますと、
時代を間違えそうになります。
ヒートアイランドなどといわれる時代、
街中で、涼しさを感じられるなんて、素敵なことではないでしょうか。