沢木欣一先生の「能登塩田」二十五句。
句集『塩田』に収録されています。
実は、25句すべてを目にするのは初めてです。
今では道が整備され、奥能登も近くなりましたが、
「バスで二時間、町野町に一寒村あり、
もっとも原始的な塩田を営む、嘗て二十余を数へたが衰へて二、三残る......二十五句」
このように書かれてあります。
沢木欣一
大釜に煮詰まる塩と夜明け待つ
夜明けの戸茜飛びつく塩の山
暗がりの塩箱満たす塩の光沢(つや)
塩田の風景も変わってきているように感じるとともに、
変わらない景色もあるように思います。
俳句が語り遺した風景。塩田。
改めて俳句の力を知らされた思いです。
最後に三句。昨年、私が詠んだ「塩田」です。
炎天や砂の筋目に塩光る
薪くべて腕に光る玉の汗
峰雲や猫車に積みゆく塩の艶
私の大切な思い出、「塩田」の風景です。