呼吸のように・・・

俳句のエッセー

花は実に

山頂近く、広々としたダム。
水は深い碧色をし、風はほとんどなく、静かでした。
陽ざしはありますが、気温は上がらず、さわやかそのもの。
遠くにずっと耕運機が唸っていました。
鶯が鳴きます。
鵯が飛び来ます。
燕が鳴きながら飛んでいます。
八重桜が光と散り、一方で、桜の実が青く結んでいました。

異国から来た裸婦像。
その女性らしい体つきに似合わず、若々しい乳房を持っていました。
彫りの深い顔立ち、縮れた髪。
南国の太陽を思わせる美しさ、眩しさ。

花は実に…
桜は散り、実を結びます。
今、まだ青い実が赤く熟すときは、そう遠くないでしょう。