呼吸のように・・・

俳句のエッセー

下萌

春の土は、黒い。
雪解けの後、また、田起こしのあと。

春の土は、匂う。
命の入れ替わり。枯れた草の根元から、新しい草が青い。

春の土に、緑が被う。
緑は点在し、一つ一つが広がり、やがてつながっていく。

下萌。地を這うように生えた草の中、
背の高く、伸びゆく草もある。
背の高い草は、風に、小さく揺れ通す。
高きは揺れ、低きは留まる。

下萌。
大地の息吹を感じずにはいられない。