呼吸のように・・・

俳句のエッセー

日矢

雲の切れ間から、日が下界へ射し広がります。
天空からのライトのように、日矢は地上を照らします。
日矢(ひや)。
辞書にもないこの言葉は、俳句に生きている言葉です。
雲が早く流れ、日矢が枯れた地を足早に過ぎ去って行く時、
そこに青鷺が一羽、佇んでいました。
自分を追い越して行く光を見つめつつ、
鷺は動きません。

佇む鷺に、過去も未来もありません。
あるのは「今」だけです。
後悔も不安もないのでしょう。
それは、幸いなことではありませんか?

頭でっかちの「人」は、鷺のようにはいきません。
思慮深い人は、それだけ不幸も背負ったようです。
それでも、人には、それを上回る多くの希望があります。
希望が見えない人は、信じてください。
希望の光がやって来ることを…
あなたの行く手に光が当てられますように…
光は、必ずやってきます。
雲が切れて、日矢があなたを照らす時が、
もう、すぐです。