呼吸のように・・・

俳句のエッセー

かぼちゃ

誰かが言いました。
 あなたに三日間だけ、お姫様にしてあげましょう…
なぜ、そんなことができるのか、
なぜ、私なのか…そう戸惑いつつ、
あなたはこれ以上ない城を我がものとしました。

三日経って、その人は言います。
 さあ、約束の時間が来た。
 あなたはその城を出て、元の生活に戻りなさい。
夢のような時間は、あっという間に過ぎてしまいました。
元に戻れと言われても、それはあまりに勝手な言い分で、
今の自分には残酷な宣言でしかありません。
なぜ、このような思いをせねばならないのか。
あなたは、もう、もとには戻れないと言います。

人生はこのようなもの。
一時、与えられた様々なものの積み重ねです。
まるでかぼちゃの馬車のように、
時間が来れば、ただのかぼちゃに戻ってしまうのでしょう。

あなたは抵抗します。
 私のものを取り上げないで…
しかし、あなたのものなど、何一つなかったのです。

けれども、その事に気付いた時、
かぼちゃの馬車は永遠になりました。
これは、私のものではない、お返しします…
そう宣言した時、すべてが永遠に変わったのです。

あなたをお姫様にした方は、あなたの感謝が欲しかったのです。
あなたの思いを、自分に向けて欲しかったのです。
ただ、それだけ…
切ない、創造主の愛のように、
思えます…