呼吸のように・・・

俳句のエッセー

赤のまんま

赤のまんま、赤のまま、犬蓼の花。
ままごとに使う草花です。
ままごとではありませんが、山の清流でバーベキューの匂いの中、
赤のまんまを足元に見つけました。
おなかが空く時間ではありませんでしたが、
美味しそうな匂いに、つい、赤のまんまが食料に見えて…
というわけではありません。
ただ、子供の頃を思い出していました。
平らな石の上で、石の包丁を使い、草を細かくして。
瓦のかけらを拾ってきて削り、赤いトッピングにして。

お母さん役と子供役はありましたが、
ままごとの家に、お父さんが帰ってくることは、滅多にありませんでした。
そんな時代です。
リカちゃん人形にも、長い間、パパがいなかったように、
帰宅の遅いお父さん役は、登場する場面が少ないので、
嫌われたのかもしれません。

赤のまんまは、ずっと同じように咲いているはずですが、
あまり目にしなくなりました。
それは、大人になって、赤のまんまの価値が変わってしまったから。
今は、赤のまんまより、清流で釣れる岩魚のほうが惹かれます。