呼吸のように・・・

俳句のエッセー

白百日紅

鎮魂碑の奥、白い花が梢まで咲き満ちて、
風に花びらを散らしていました。
白い百日紅でした。
山の中腹にある碑は、早くに日陰になり、
夕日は、谷を越えた向うの山々を照らし出していました。

この暑さの中、正装の方々が集い、
記念式典を催しておられる姿も目にします。
どれだけの方々が、今も傷を抱えておられるか、
私の想像は及ばないでしょう。

名を刻んだだけの石碑は、
どれだけの思いで建てられているのか、
無関心であってはなりません。

彼らは、遺族の方々の記憶に
今も生き続けているのです。
深い痛みと共に…