呼吸のように・・・

俳句のエッセー

蝶の翅

健民海浜公園(金沢市)。
夏草が茂り、徐々に狭められていく道は、
水が豊かで、湿気に苦しさを覚えるほど。
緑色の水は、池なのか川なのか、
流れの滞る一隅に亀のつがいが顔を浮かべていた。

蜘蛛があちらこちらに巣をして、
元気のいいバッタも、意外な高さに捕えられていた。

蜘蛛の囲に下がる美しい一片。
揚羽蝶の翅。
静かな呼吸を感じさせるように、翅が動いている。
しかし、ただ一片だった。
蜘蛛の囲に下がる蝶の翅。
風もない林の中で、音もなく揺らぎ、回っていた。