呼吸のように・・・

俳句のエッセー

たかんな

たかんな。筍。
たかんなの力はすごい。
土を盛り上げて、ついに突き出す。
大地を軽々と自分の足場にしてしまう、たかんなの生命力。
もう一度、その感動を…と出かけると、
ない。
あちこちに穴があるだけだった。
ほんの二日前は、あんなに頭が揃っていたのに。
しかし、良く見ると、新たな生命が顔を出していた。
土と同じ色の毛深い頭の先端が、小さな緑。
思わず、掘ろうか…と頭をよぎるが、
そのつもりはないし、道具もない。
それでも、
帰ろうとした時、ちょっと「もったいない」と思ってしまう、
あさましい私だった。