呼吸のように・・・

俳句のエッセー

桜蕊降る

桜の花の季節は短くて、
もう葉が出ていました。
ぼんぼりに映しだされた、雪のような、雲のような花は、
赤い蕊が目立って哀れな感じがします。

車を止めていると、フロントに桜の蕊が降ってきました。
蕊が降るとは、また、哀れです。
花は短い。
時を留めておくことは、誰にもできません。
ただ、記憶の中でのみ、咲き続ける花。
また目にするまで、一年のお別れです。