呼吸のように・・・

俳句のエッセー

冬芽

夕焼け雲が明るく輝くころ、
そろそろ風が冷たく感じられるようになり、
ラソンの青年もいなくなり、公園に一人佇んで
冬芽を見上げていた。

冬芽は逞しく、拾い空を目指して立っているように見える。
枝ごとの冬芽に、空が広がっている。
それぞれの芽に、それぞれの空がある。
それぞれの空は、広く、高く、果てしがない。
人知れず冬を越え、空の深さに抱かれて、
暖かな春を迎える。

真っ直ぐに空を芽目指して咲くように、
太陽が促す季節は、もうすぐそこに来ている。