呼吸のように・・・

俳句のエッセー

ストーブ

ストーブも少なくなってきたこの頃ですが、
私の高校では、驚いたことに、薪ストーブでした。

一年生が使用する西館だけが、そうだったのですが、
入学式以来、渡り廊下からずっと薪が束にして置かれていたのを、
特に気にもしないで通り過ぎていました。
冬になり、ストーブが据えられて、
その薪の意味をようやく知ったのでした。
父兄の中には、石油ストーブを寄付しましょうかという
申し出もあったようでしたが、それは、特に珍しい申し出ではないようで、
学校はその都度、「薪の方が高いし、暖かいのです」と
丁重にお断りしていたようでした。
事実、そうでした。
ただ、火をつけるのが大変で、
冬になると、その辺に放置された雑誌や何かが次々に姿を消し、
教室が日に日に綺麗になって行きました。
それでも、薪に火をつけることが出来ずに、
一限目を迎えたこともありました。
朝の寒さから、狂気に取りつかれたように薪をくべ、
授業の途中でストーブが火を噴いた時は、かなり驚きました。
ストーブの前の席の子の机が焦げたり…
薪をひっかける鉄の棒(なんだっけ?)が、真っ赤になったり…
そんな楽しい薪ストーブも、今はもうありません。
新校舎はエアコンです。
当たり前ですが…
ちょっとさびしく、それだけに貴重な経験を
今は嬉しく思っています。