呼吸のように・・・

俳句のエッセー

獅子舞

「町内獅子方若連中丈」
この町内に住む者なら、誰でも諳んじている口上があります。
「御酒、魚、沢山」(オンサケ、サカナ、サーワヤマ)と読みます。

獅子舞は新年の季語ですが、
祭獅子は夏です。
私たちの住むところでは、各町内ごとに違った獅子踊りがあり、
毎年、五月の末の獅子舞祭りでは、たくさんの獅子が町を流します。
小さい頃は子供の数も多く、踊り子になれるのは長男だけ。
しかも、表通りの家の子だけでした。
私たちは、人生最初の差別をここで味わうわけですが、
子供たちは、獅子舞の練習が始まる一カ月前から、
一緒に集って、同じ時間を過ごしてきました。
今でも一年に一度、獅子舞を見に、町内の顔が揃います。

今では子供の数も少なく、獅子方は「保存会」とも称されるようになって、
男女を問わず、子供が皆、踊りやお囃子に参加するお祭りになりました。
例外なく、この町に生まれ育った私も、この獅子舞祭りが大好きです。
今でも、もし「お囃子に参加しないか?」と、声がかかったなら、迷います。
それほどの思い入れがあるお祭りなのです。

この胸躍るお祭りを、一度俳句にしたいと思い、
「雉」賞に応募しましたが、まったく駄目でした。
中に二三、気に入った作品があるのですが、
落選したことを幸いに、とっておこうと思います。
次なるテーマは、実はもう決まっていて、
暇をみては吟行に行かねばと思っていますが、なかなか…

自分の生活に密着した、私の視点、私の俳句が
出来ることを願い、また、楽しみに思っています。
乞うご期待!