呼吸のように・・・

俳句のエッセー

波郷忌

11月21日。
今日は、俳人 石田波郷 の忌日です。

昭和44年(1969年)、肺結核で亡くなった波郷は、
長く病気と闘い、句作を続けた俳人でした。
学者もそうでしょうし、多くの芸術もそうでしょうが、
作物を生み出すのは、かなりの体力が要ります。
それを思えば、闘病と芸術は、
とても両立しないもののように思えます。
しかし、
正岡子規もそうでしたが、
多くの作家や学者が、
身体的に恵まれた状態ではない中で、
素晴らしい作品を生み出していったのは、
驚き以外のなにものでもありません。

「だからこそ」と簡単に言ってしまうのには、ためらいがありますが、
それらがあって、猶の事、
個性が引き出されていったのかも知れません。
波郷の俳句は、
奥を見通すような、優しさを感じる句が多いと思います。

たとえ小さくとも、
読む人の心に灯が投じられるような俳句を
詠むことができたらと、思って止みません。

  木の影も笹鳴きも午後人恋し    石田 波郷