呼吸のように・・・

俳句のエッセー

椎の実

雨の二条城。

まだ青い椎の実を捥いだ。
枝が弾けて、飛沫が立った。
飛沫を浴びて、二条城の吟行を始める。

桜の葉がうっすらと色づいて、
柔らかな雨を受けていた。
葉は揺れるでもなく、静かに濡れている。
葉先に雫が溜まっている。
その雫も、静かに留まっていた。

ふと、ポケットに手を入れると、
さっき捥いだ椎の実が手に当たった。
手の中に転がしていると、
椎の実の帽子がとれて、ポケットの中を彷徨い出す。
帽子はかぶせても、かぶせてもずれてしまう。
まだ青い椎の実は、元気いっぱい
丸坊主である。