呼吸のように・・・

俳句のエッセー

水澄む

秋の川は、水が澄んで、
黒い色の鯉も、橋の上から揺らいでいるのが見えます。
時々、流されながら、うろこが鈍い光を放ち、
尾鰭で底砂を巻き上げて、川の水を濁しています。
川は流れて、水が滔々と流れて、
同じ水はなく、絶えず新しくされています。

人の世も同じ。私たちは流れていく川の水のようです。
私たちの一生は、神の目には一瞬の瞬きのようです。
短く、儚く、跡形もなく流れ去ります。

しかし、同時に忘れていはいけません。
永遠に生きる神にとって、時間は流れ去るものではないのです。
すべての時が、神にとって「現在」なのです。
神は、すべてを記憶にとどめておられます。
私たち存在も、私たちの過ごした一瞬の時間も、
いいことも、悪いことも…

主イエスの十字架も、
私たちの罪の行いも、
すべてが「現在」なのです。

ゆえに神は、すべての罪の前に十字架を置き、
「その罪を思い起こさない」と言ってくださいます。
キリスト者とは、赦されて生きる者のことです。
罪がないのではありません。罪を許された者なのです。
過去が帳消しになるのではありません。
過去の意味が変わるのです。
十字架によって、「赦しと救い」の歴史に変わるのです。
そのことを知らされて生きる幸い。
それがキリスト者の「恵み」なのです。
人は赦されなければ生きていけないからです。

過ぎ去った時を、救いの恵みの歴史に変える十字架。
すべてが神の愛の内にあり、
祈りは必ず聞かれるということを信じて、
神に語りかけてみませんか?
神はインマヌエル、「私たちと共に」いらっしゃいます。