呼吸のように・・・

俳句のエッセー

私の憩いの場、古墳公園。
古墳の頂上から眺めていると、
子供たちがおしゃべりしながら帰ってきたり、
畑の人が、ずっとしゃがんで手入れしていたり、
誰も私に気付かずに過ごしていってしまいます。
それが楽しくて上から眺めているのですが、もしかすると、
気付いていても、気付かないふりをしているのかも知れません。
 …怖いから

畑の人もいなくなって、風も出てきて、
日も傾いてきたので、古墳から降りてきました。
すると、割烹着のおばあさんが一人、
菊の花束を手に近づいてきました。
おばあさんは、公園の水飲み場で水を汲み、
誰もいない墓地に入って行きました。

何でもない日の夕方。
私には普通の日だけれど、
おばあさんには特別な日なのかも知れません。
菊の色は、紅。
おばあさんの心の中で、思い出は生き続けているのでしょう。

私も、もうすぐ
母の忌日です。