呼吸のように・・・

俳句のエッセー

蟷螂(かまきり)

蟷螂は、とても澄んだ目をしており、
左右に開き、飛びだした目に夕日が当たると、
夕日の色に輝いて見える。

枯れ色をした蟷螂をじっと観察をしていた。
場所は草むらに囲まれた駐車場で、アスファルトがほのかに温かだった。
夕日色の目を覗き込みながら、これは本当に生きているのだろうか、
そんなことを思いながら、動く気配のない蟷螂を見つめていた。
と、そこにバッタが飛び出してきた。
あっと思う間もなく、蟷螂は一気に飛んで、
数十センチも離れていたバッタを一撃で捕えてしまった。

生きていたことにも驚いたが、
その成功度の高い襲撃に驚いて、茫然としてしまった。

バッタを捕えた蟷螂は、また、静止したかのようだったが、
ゆっくりと、なめまわすように、
バッタの頭を食んでいったのだった…
頭から食べるのか…
抵抗虚しく、バッタの頭の部分はただの窪みになってしまった。
そのあと蟷螂はどこまでバッタを食べたのか、
私は知らない…