早稲刈りにそばへが通り虹が出し 細見 綾子
日も傾いてきた頃、東へ向かって歩いていた。
東の空に雲はかかっていたけれど、切れ切れに離れ飛んで、
青空が澄み渡っていた。
そこへ日照雨が来た。
パラパラと雨粒が日に照らされて輝いている。
すると、目の前に大きな虹が現れた。
虹は青空に透き通って、雲に透き通って、輝いていた。
虹を見上げながら歩いていくと、その虹の上に
もう一つ虹が現れた。
二重の虹。
虹は色を反転させて、更に大きく透き通っていた。
日照雨は、まだ粒を煌めかせながら、降り続いていた。
用事を済ませ、秋空の下に出てきた時には、
もう虹は消えてしまっていた。
細見綾子先生の俳句を思い出しながら、
刈田の道を、また、歩き始めた…