呼吸のように・・・

俳句のエッセー

葡萄棚

雨が降ったりやんだりの中、
参道の石磴を登っていくと、その途中、
隣家の葡萄棚が塀の上からのぞいていた。

こちらは階段になっているので、葡萄にやすやすと手が届く。
しかし、葡萄も大方取り尽くされていて、
残っているのは、何か理由があっての代物だろうと思う。
それを、一粒、つまんで渡された。
淡いエメラルド色の葡萄は、目が覚めるほど酸っぱかった。

雨に倒れた猫じゃらしを踏みつつ、
裏参道から宮を後にした。