呼吸のように・・・

俳句のエッセー

秋の雨

この季節にしては珍しいように思う。
秋の雨が激しく降った。

寂れた宮に、激しい雨が続く。
公孫樹の太い幹が濡れ、
真っ直ぐな杉の幹が濡れ、
蔓延った根が盛り上がった間に
俵型の大きな石が三つめり込んでいた。

村の翁は知らないと言う。
かつてはここでも盤持ちを競ったらしい。
それでも、これがその力石かどうか、知らないという。

人の記憶も風化して、盤持石も土に返る。

激しい雨が石を洗う。
石の記憶は、雨にもわからない…