呼吸のように・・・

俳句のエッセー

心太(ところてん)

私の生まれた土地では、心太をからし醤油でいただく。

この心太の味付けに、土地柄があるとは、本当に知らなかった。
東京の五反田で、ホテルまで、すぐそこなのだけれど、
あまりの暑さに歩けなくなって、目についたお店に入った。

心太のセットのようなものがあって、それを注文した。
一口、口にして驚いた。
「これは、心太じゃない!」あま〜い!

セットなので、餡蜜もあったと思う。
味が変わらない気がした。

文句も言わず食べつづけて、その甘さが嬉しく感じられるようになった。
暑さにバテていたせいかもしれない。

戻って来て、職場の皆に報告したら、
そこに集っていた各々が、それぞれ馴染みの心太の味を教えてくれた。

私の人生も、そこそこ長いと言えるだろうが、
あま〜い心太は、あれ一度きりの経験である。

味だけではなく、地方色豊かな日本の文化に触れることは、
とても面白いことと思う。
新たな発見が欲しい夏、である。