呼吸のように・・・

俳句のエッセー

驟雨過ぐ

今日の午後、遠雷が聞こえ、
しばらくして雨になった。
久しぶりの雨は、激しく降って、すぐに止んでしまったけれど、
風が涼しくなって、ほっと一息ついた感じだ。

それでも昼間の暑さが部屋にこもっていたので、
非難…ではないけれども、近くの牧場へ出かけてみた。

山に登っていくにつれて、靄が深くなっていき、
牛の匂いが届けば、まるで、スイスのような景色に思えた。

下界の暑さは嘘のように涼しく、
靄にかすむ夕日は、木立の末葉を明らかにして、
目の前の丘は、まるで地平線のように丸かった。
風車の羽根が、靄にかすんで、更に遠ざかったようだった。

日本じゃないみたいだ…

と、思ったとき、
かなかなが鳴き出した。

帰り道、一列に並んで歩く牛を見かけた。
誰かが牛舎へ誘導しているのだろうか。
牛たちが自ら家路を辿っているように見える。
牛たちは、静かに歩いていた。

牧場の日暮れは、時間がわからなくなるような
非日常の空間だった…