呼吸のように・・・

俳句のエッセー

ぶどうの房

教会の入口の上に丸い窓がある。
そこには、葡萄がステンドグラスで描かれている。

あまり周囲を気にしない性質なので、
日曜日の礼拝では、それほど気にならずに通り過ぎていた。
しかし、夜の祈祷会では、丸い窓の真ん中にある葡萄の紫が灯に照らされ、
大きな緑の葉に囲まれて、はっとするほど美しい。

葡萄の蔓がくるくると描かれている。
丸い葡萄の実が、まんまるに集めて描かれ、
丸の集合体のような絵ガラスは、平和そのものに感じられる。

二階の祈祷室に入ると、席がなくて、いつもと反対側へ腰かけた。
すると、正面にそのステンドグラスの窓が見えた。
祈りが進むと、辺りも暗くなる。
葡萄の紫色は、すっかり夜の色になってしまう。

「わたしはまことのぶどうの木、あなたがたはその枝である。
 人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、
 その人は豊かに実を結ぶ。」 (ヨハネによる福音書 15:5)

豊かに実を結んだ時、ひとりで実を結んだのではないと知る。
様々な幸運があったことを知る。
そのことを忘れない者は幸いだと思う。

祝福の源は、自分自身ではない。
それを知ることは、幸いのはじめだと思う。