2006年。
今日は特別な日曜日。朝から落ち着かない。
待ちに待ったこの日。私の洗礼式の日だ。
大変珍しいことと思うが、
私が受洗した教団は、聖書にあるように、洗礼は海へ入る。
女性牧師と二人、祈りながら波へ足を踏み入れた。
もう、水は冷たくなかった。
水の深さが膝丈を過ぎたところで、私は跪く。
波が胸まで来た。
牧師が声を高くして祈りを捧げ、
私の額は後ろへ押されて、一瞬、音が途絶えた。
次の瞬間、青空が見えた。
終わったんですか、といった、あっけない気がした。
余りに一瞬だった。
天が開けて鳩のように聖霊が降ってくるのが見える、ことはなかった。
しかし、しみじみとした喜びに満たされた。
皆、笑顔で迎えてくださった。
その後、教会へ戻り、ささやかなお祝いの席が持たれた。
その日、記念にいただいた紫陽花の鉢植え。
四葩(よひら)。
濃い紫が、なぜか私に合っていると、牧師が選んでくださったものだ。
紫陽花は、土に落とした。
我が家の玄関先で、まだ小さい。