呼吸のように・・・

俳句のエッセー

日射病

学校の運動会などで苦痛だったのが、挨拶である。
順に話す方はいいとして、聞いている方は、面白くもない話を、
ただおとなしく立ったまま聞いていなければならない。
早く終わらないか…
そう思った時、倒れる輩がいる。
ドサッと音がして、青白い顔をしたクラスメートが足元に横になっており、
皆の注目する中、連れ出されて行った。

私は、倒れたり気分の悪くなる思いを、一度もしたことがない。
だから、退屈な式典などで倒れるクラスメートを羨ましく思った。
もちろん、本人は苦しいに違いない。
しかし、くだらない話から逃れる手段は具合が悪くなるしかないため、
自分の健康を恨むことさえあった。

倒れた子は、大概、白い肌をしていた。
それは、私には無いものだった。
そのか弱げな雰囲気は、女の子なら憧れるほど楚々としていた。

短大生のころ、仲間とテニスをした帰りに、献血車を見つけた。
若者らしく、私たちは献血しようと立ちよった。
しかし、スポーツの後で、皆疲れており、誰も比重が軽くて献血できなかった。
私も駄目だろうと思いきや、しっかり採血に回され、
最後に、
「いい血ですね」と褒められまでしたのだった。

今では、結構なことだと思えるが、
当時は、なんとなく恥ずかしく思ったのだ。
少女時代は、鉄人だったようである。