呼吸のように・・・

俳句のエッセー

葉桜

桜は、すっかり若葉の緑になってしまいました。

かつての桜並木は、ただの並木になってしまい、
気に留めるような存在ではなくなってしまいました。
しかし、
気まぐれにも足を止めて葉っぱを眺めていると、
つぅーっと何かが降りてきます。
青くて、細長くて、
時々、風に煽られてか、空中に引っかかってもがいているようにも見えます。

青虫。

桜の葉っぱは、人間でも食べてしまうくらいだから、美味しいに違いないでしょう。
虫がつくのです。

また、つぅーっと降りてきたかと思うと、
ぷっつりと糸が切れて、目の前を通り、地面に落ちました。
身体を反らして、ちょっと、びっくりです。
たかが青虫一匹に、うろたえます。

この並木道に、やがて毛虫の行進がみられることでしょう。

全然、楽しみじゃありません。

ですが、毛虫の観察には来るつもりです。
あの美しい毛並みは、観察に値します。

結構、いとおしい命です。