呼吸のように・・・

俳句のエッセー

裸足

大学のサマースクーリングの案内が届いてしまった。
もう、そんな季節になったのかと思う。

科目履修生の私は、一応、履修予定は出しておいたが、
諸々の事情を考えると、出席は難しいかな、と思う。
けれども、今夏を逃せば、更に難しくなるな、
などと考えて、結局、出席するのだろうと自分で思ったりする。

もう10年も経つと思うが、
ウィークリーマンションというのが、しきりにCMしていた頃、
私も、その一つに宿泊した。しかし、そこは、
「マンション」とは名ばかりの、安かろう悪かろうの宿だった。
でも、一週間のことだから…と我慢して過ごしたときのことだ。

宿のルールで、細かな料金が設定されていたが、
その一つに、ドアロックしてフロントを呼んだ場合、300円とあった。

数日たって、洗濯しようと最低限のものだけを身につけ、
階下のコインランドリーへ向かうため、部屋を出た。
洗濯物を抱えて、耳の後ろでカチャっとドアのしまる音を聞いた、
その時、カギがないことに気づいた。

すぐ、ドアに飛びついて、取っ手をガチャガチャと上げ下げし、
押したり引いたりしたが、ドアは開かなかった…
「ああ」
仕方がない、フロントへ行かねば…
どんな顔をして行けばいいのだろう。
私は、Tシャツに短パン、それしか身につけていなかったからだ。
下手をしたら、軽犯罪法でしょっ引かれるか、あるいは、
大変危険な目にあっても仕方がない恰好をしていた。
夕方、この時間なら誰もいないだろう、そう考えて、こんなことになってしまったのだ。

フロントのお兄さんは、特に変わった様子もなく、
平然と対応してくれたが、最後に、
ペナルティ料金は「いいでしょう」と、おまけしてくれた。

これは、喜んでいいのかどうか。
300円は儲かったが、いや、しかし…
ちょっと、人に言えない事件だった、かもしれない。