呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春の夢

春の夢は、儚いもののたとえである。

先日、私が蛇の夢を見た。
青花のような白地にコバルトブルーの柄が入った大蛇だった。

続いて、姉が蛇の夢を見た。
海のように透き通った、真っ青な蛇だったという。

我が家では、蛇の夢は縁起物で、
祖父が医師の試験に受かった時、
父が家を建てたとき、
姉が入試に合格したとき、
いずれも、誰かが蛇の夢を見ていた。
その多くは、白か黒の大蛇である。

俱利伽羅不動に近いためか、両親は俱利伽羅不動の黒龍にちなみ、
蛇の夢には思い入れがあったようだ。

俱利伽羅の信仰を言えば、父が、
年寄り子の私に、「この子はお不動さんから授かった子だ」と言って、

「俱利子(くりこ)にしよう」といっていたという。

母は、断固反対して、今の名前になった。

信じていたから、蛇が縁起物として夢に出てくるのか、
本当に何かを知らせに蛇が出てくるのかは分からないが、
いいことならば、大歓迎である。

今のところ、私たち姉妹の夢は現実味を帯びていない。
楽しみに待っているのだけど、
春の夢に終わらないことを祈るばかりである。