呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春祭

春祭りの神輿の巡行予定が回覧された。
キリスト者の私であるが、
この地に住む以上、愛宕神社の氏子でもある。

祭りとなると、町内会の氏子総代の方が、お札を配りに一軒ずつ回るのだが、

「神様持ってきました。八百円です」、と言う。

神様は八百円で買うらしい。
それがおかしくて、他で話題にすると、

「ええ!安い!うちの町内は、千円や!」と言われた。

それからしばらくして、この町内も千円に値上がりした。

愛宕神社の神輿は、台車に乗せられて、神官に引っ張られてやってくる。
すたすた歩いてくるので、油断すると幣を渡し損ねてしまう。

一度、走って追いかけていったことがあった。
すると、「これはどうも、ご丁寧に」と言って、
「かしこみ、かしこみ…」お祓いをしてくださるのだが、
神妙にうつむいている時間が、なんとなく、長い。

愛宕神社のお祭りは、いまでは日曜日と決められた。
お祭りは、お祭り騒ぎと解釈されて、
単なる伝統行事になってしまったようにも思える。

八百万の神々を信仰している方々は、これに対して、
文句の一つも言うべきところだと思うが、そういうことはない。

祭りの当日は、華やかに曳山も巡行する。
夕方、各町内の花山が一同に集うのは、なかなか見応えがある。
家族一同、親戚一同集って眺めるのは楽しい。
皆の心をひとつにしてくれるようだ。

本来の神事とは形は違っても、
「平和」ということでいえば、
その目指すところは同じと言えるかも知れない。

その意味で、今も昔も、「祭り」は「祭り」なのだろう。