呼吸のように・・・

俳句のエッセー

小綬鶏

急斜面を降りていった。
少し緊張しながら、足元を見ながら歩いていく。

平地に出たので、腰を伸ばし、空を見上げた。

ずっと足元ばかりを見ていたので、
青空が新鮮に見える。

頭上高くに、痩せた月がかかっていた。
その細い筋は、空の青さに透き通って見える。

遠くに小綬鶏が鳴く。

他には誰もいない、山の道。

小綬鶏は、私を呼んでいるのかな…

一人で笑いだしたいくらい、気分がいい。
また、歩き出す。

小綬鶏は、やはり遠くに鳴いていた。