小さな花が集まって、ボールのように枝に並んでいる。
風が吹けば、枝がゆれ、ぽんぽんとボールが弾むようだ。
しなやかなこでまりの白い花は、とても清楚なイメージ。
友人が好きだったわけでもないし、
私が好きだったわけでもない。
ただ、この季節だから、こでまりを手にする。
こでまりを手にしたから、私はこの花を好きになった。
風が通る木立の中にある大きな石、
その中に眠っている人の思い出は、ここにはない。
ただ、こでまりの花だけが、
風が吹けば、どれも同じように流されて、揺れている。
木立を離れると、
また、思い出が私に話しかけてくれる。
そして、私の中で生き続ける。