呼吸のように・・・

俳句のエッセー

金縷梅(まんさく)

兼六園に梅を見に行きました。

でも、まだ早かったようです。

梅林の中央に、金縷梅が一本あり、
ぼんやりと咲いていました。

なんとなく、はっきりしないのが、
この花の特徴のようです。そう思います。

春という季節も、そういえば、はっきりしません。

暖かいのか、寒いのか分からないし、
晴れているのか、曇っているのか分かりません。

世間では、新しいことと古いこととが入れ替わり、
喜んでいるのか、悲しんでいるのか分かりません。

出会いがあり、別れがあり、

春の味は、見た目に甘く、口には苦く、
複雑な人の心を表しているようにも思えます。

兼六園の金縷梅は、梅林の中でたった一本、
いち早く花をつけてはいるものの、
ぼんやりと煙って見えます。

目立っているのか、いないのか…

それは見る人の心持しだい、と言えそうですね。