呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春一番

レ―シック手術を受けて二年が経った。

裸眼では歩けなかった、この私が、車の運転もできてしまう。
とても快適な日々を得ることができて、感謝というよりほかはない。

ただ、術後はドライアイがかなり辛かった。
目が腫れるまで、目薬をさしたりしたが、
近づけても、離しても文字がかすむのは、日常生活をかなり不快なものにした。

直後ほどひどくはないものの、この季節にまたドライアイが激しくなり、
手術を受けた「小矢部たがわ眼科」へ出かけた。

ここは、その頃できた、新しいクリニックで、
田川先生は腕もいいが、若くてイケメンだと、早くから評判になっていた。
また、受付から看護師まで、女性は皆、美人揃いである。
この田川先生、医者にしておくのはもったいないほどの、商売人かもしれない。

さて、昨年、途中で通院を止めてしまった私は少々気が引けたが、
何食わぬ顔で、診察室の先生の前に座った。
NETの情報などで、あらゆる手段を試したけれども、改善しなかったことを訴える。

「NETの情報は、当てにならないでしょう。
 ドライアイは、女性ホルモンに関係があるようです。つい先日の学会でも、そう報告がありました。」

「ということは、男になれば(?)、ドライアイはなくなるのですか?」

「そうですね、女性が多いのです。特にあなたの場合、大変だと思いますね。」

このようなお話だった。
先生によると、この女性ホルモンが関係する病気を、私は心配しなければならないらしい。

春一番が伝えられた今日、この季節、
乾燥した空気は私の目をびゅんびゅん襲って、外を歩くだけでも辛い。
しかし、それも大したことではない。

物事には捉えようによって、いいところ、悪いところがある。

今、私は、ドライアイを喜ぶのである。