呼吸のように・・・

俳句のエッセー

お雛様

我が家は、オール電化である。

三年前、家を新築した際、
喧々囂々の家族会議の末、オール電化に落ち着いた。

あれだけ迷ったことが嘘のように、快適だ。

昨年の大震災による原発問題の中ではあるが、
経済的な面で、オール電化はお勧めしたい。

しかも、安全である。
電化が進み火災が減っているとは、私が住所を置く市からの発表である。


引っ越し直後、長い付き合いの建具屋さんが、
不具合はないか、頻繁に見に来てくださっていた。

街道筋にある我が家は、いわゆる「鰻の寝床」で、
日中でも廊下は薄暗い。

父が、辛気臭いと嫌ったので、
一日中、煌煌と灯りをつけていた。

その建具屋のSさん、
私の移動する後から後からくっついてきて、
廊下の灯りを消して回っていた。

ここは私の家なのに、

「どうして消すの?」と、抗議する。

「もったいないじゃないか!」と、教育的指導さながらである。

なんと経済観念のない娘か、と言わんばかりに、

「こんなお雛さんみたいなことして…!」と叱られてしまった。

まあ、と憤慨したが、「お雛さん」という響きに、ちょっと喜んでしまった。

お雛さん、か。

なんとなく優雅なイメージがあるではないか。

それからしばらく、我が家では「お雛さん」が流行った。
何かあると、すぐ「そんなお雛さんをして…」と注意し合った。

明日は、桃の節句
お雛さんの主役の日である。

明日はどんな贅沢が待っているのか、楽しみなのだ。

(…なんてね)