ちょっと、外出した。
いいお天気だったので、フード付きのジャケットを着て、
傘も持たずにお散歩気分で田舎道を歩いた。
ところが、雪がちらついてきたかと思うと、にわかに吹雪になった。
春の雪は湿っぽく、ジャケットに容赦なくくっつく。
フードは風で脱げないように指で押さえていたが、
指が冷たくて、冷たくて、痺れが来る。
田舎道には、逃げ場がない。隠れるところもない。
線路に沿う道に入ると、足元に小川が流れていて、
ドーッとばかり激しく流れている。
そのほとりに、小さな裸木が二本、重なり合って立っていた。
かわいそうに、吹雪に晒されて、ギギ―、ギギ―と
軋む音を高く、低く、放っていた。
田舎道には、逃げ場がない。
家に着いたころには、体に着いた雪は水になっており、全身ベタベタだった。
嵐が来ないことを願うのではなく、
嵐の中でも強くある自分を願ったのだった。