呼吸のように・・・

俳句のエッセー

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今年竹

わたしの魂よ、沈黙して、ただ神に向かえ。 神にのみ、わたしは希望をおいている。 (詩篇62・6)前方後円墳の頂きからは、 町が一望できる。 風が渡り、清々しい。この期待は、裏切られない。 いつも爽やかで気持ちがいい。古墳の近くに竹藪があり、 今…

田螺(たにし)

田螺は、春の季語だ。 雨が降って、水がたまって、畑の一隅が浸ってしまうところに、 ミミズが這ったような跡が見える。その先端に、田螺がいた。田螺が水の中を動き回っていたのだ。 一匹や二匹ではなく、何匹も何匹もいたのである。しかし、 その水たまり…

河骨(こうほね)

池に河骨が咲いていた。 黄色の花を、ポンと茎にくっつけたようだ。揺らぎもせずに、佇んでいる。 池の水は静かで、河骨をそのまま写していた。河骨は、水面に花の裏側を写していた。黄色の天を向いて咲く花と、 それを写す裏側の花と。水上の小町は、どこか…

十薬

十薬は、「どくだみ」などというものだから、 ひどく悪い物のように感じることがある。 しかし、 白い十字の花は可憐で、香りもいい。 さすが薬草、といえる。我が家の北向きの玄関に、小さな花壇があるが、 いつの間にか十薬が生え出ていた。十薬の花は好き…

梅雨

梅雨の鬱陶しいお天気が続きます。 梅雨は、蒸し蒸しした暑さが不快でなりません。 しかし、 この梅雨の蒸し蒸ししている間に、汗腺を開いておきましょう。 暑い夏に対応するためです。私の場合、暑くても、極力長袖で過ごします。 汗がじわじわするくらいを…

睡蓮

睡蓮が美しい。 切れ目の入った葉が、水の上に、重なって浮かんでいる。 花は作りもののように、完璧なフォームで天を向いている。重なり合った葉の間を、錦鯉が見え隠れしながら過ぎていく。 随分、大きな鯉のようで、錦の柄がゆったりと流れていった。同じ…

亀の子

義仲寺で見た、亀の子を俳句にしてみました。 いよいよ今日は、俳句会にお披露目です。なかなか上手くいきませんでした。 池の水の中を、底から水面に向って、甲羅を揺らしながら もがくように泳いでいた子亀。小さな身体、全身で、水を大掻きする姿はいじら…

夏草

また、古墳へ行ってみました。 前方後円墳は、夏草に覆われて、産毛が生えているようです。 先日、来た時は、手入れされたばかりで、 スッキリとその全貌を表していたのに。 今日は、所々に草が爆発したように萌たち、 装飾を施したようになっていました。夏…

夏燈

金沢教会の「パイプオルガン・コンサート」へ行ってきました。演奏者は、吉田愛 アレックス・ガイ夫妻。 喜びと希望 〜イタリアからの風に乗せて〜 と題して、震災復興を願いつつ演奏がなされました。 とても軽やかで、楽しいコンサートでした。コンサートの…

梅雨の空

この一面灰色の梅雨空を、何とか詠みこめないかと、 観察しながらあるいていた。金沢城は鉛瓦で、梅雨の空に溶け込んでしまいそうだ。 城の石垣は、戸室石でできており、 戸室石は、確か、余り強靭な石ではなかったと思う。 それで、長い年月の間にかなりの…

花菖蒲

菖蒲園が賑わっています。 畝一列ごとに、様々な種類が花をつけていて、 色の帯が重なっているように見えます。ひときわ目立つ、紫一色の花は、 まるで、この季節の涼しさを集めて、色づいているようです。 梅雨の蒸し暑い季節。 凛と立ち並ぶ、菖蒲の花は、…

冷奴

かつて伝統医学センターに勤めていた時、 気になる話を聞いたことがある。ある東洋医学を実践している施設で、不妊治療をしていた。 その方々の多くは、冷えを解消しただけで妊娠したというのだ。 驚いて、どのくらいの割合か尋ねると、6割だとのこと。 本…

父の日の思い出

父は、とてもおしゃれな人でした。 ですが、若い時は、ほとんどスーツでした。 ふだん着のことは、ほとんどなく、 たまに家にいるときは、浴衣とか、Yシャツとか…そう、長い間、浴衣を着て過ごしていた父でした。 しかし、それでも、一枚ぐらいふだん着があ…

病葉

城跡の楠の葉の繁る中、 赤い色をした葉が二、三枚、見えます。病は、なぜ、この葉にだけなのでしょう。 周辺は健康そのものの葉なのに。腐ったりんご、とか 腐ったみかん、とか言いますが、 一つの箱には、必ず、こういうのが入っています。噂話というのは…

虹の雲(エクレーシア)

主があなたに御顔を向けて、あなたを祝福されますように。 絶えず、くちびるに祈りを与え、 溢れんばかりの笑顔で満たしてくださいますように。私は、あなたがたの幸福を祈ります。 これからも、ずっと祈り続けることにしましょう。なぜなら、私は、神様と約…

万緑(三井寺)

むせかえるほどの新緑。 いいお天気になって、本当によかった。浮御堂を出て、私たちは三井寺にやってきた。 山門の前で記念撮影。 私たちは、全員写真に収まらねばならないので、 通りすがりの方にカメラをあずける。 集合写真を、である。 しかし、その男…

風涼し (先生、叱られる)

風の会「雉」吟行会。大津。 朝、9時ホテルを出発。 バスにて堅田・浮御堂へ。総勢45名。浮御堂では、約1時間の滞在。 千体の仏像、湖からの風、湖に立つ虚子の句碑。 何もかも素晴らしい眺めです。そこで、T先生に出会いました。 お堂にマリア像があると言…

椿の実

大津、「義仲寺」吟行。 それほど広くない敷地に、見どころたくさんである。山門をくぐったところに、井戸があって、 錆びついた釣瓶が下がっている。植物は皆、青々としている。 日が傾いてきたので、青葉の影が差す。 その葉の間に、椿の実が青く、大きく…

夏の旅

風の会「雉」吟行会のため、大津へ行ってきました。 天候にも恵まれて、美しい琵琶湖に心が洗われました。そして、帰宅した私を待っていたのは、四日市大学 教授 高島 愼助 先生の 「富山の力石」 「力石を詠む(五)」でした。貴重な御本をお送りくださいま…

白鷺

近くの神社へ立ち寄った。 キリスト者になってから、神社へはほとんど足を踏み入れない。 ちょっと懐かしい思いもして、蛙の鳴き声の中を歩いてみた。 牛の像が奉納されていた。 馬じゃないんだ。どうして牛なんだろう…?そんなことを考えていて、ふと、頭上…

時の記念日

今日は時の記念日。 そして、兄の誕生日だ。母は、とても小さい人だったので、出産は大変だったと聞いた。 兄の場合、柑子をかけて、ようやく生まれてきたそうだ。 なんとか、へちゃむくれにもならず、兄は我が家の長男として迎えられた。兄は、母譲りのたれ…

蚊喰鳥(こうもり)

夕方、ヒラヒラと空中を飛ぶものがあった。 鳥とも違う、というのは、蝶々のように羽を動かしているように見えるからだ。 鳥ならもっと羽ばたきが激しいし、これほど小回りは効かないはずだ。何だろう…すると、地面に降りてきた。 アスファルトにピタッと吸…

ぶどうの房

教会の入口の上に丸い窓がある。 そこには、葡萄がステンドグラスで描かれている。あまり周囲を気にしない性質なので、 日曜日の礼拝では、それほど気にならずに通り過ぎていた。 しかし、夜の祈祷会では、丸い窓の真ん中にある葡萄の紫が灯に照らされ、 大…

青葡萄

金沢の外れに、ぶどうの木というレストランがあって、 葡萄棚の下で御食事ができる。 葡萄棚の下、というのは正確ではない。 葡萄棚を眺めながら、というのが正確なところだ。窓際の席で、コーヒーとケーキを頂いていた。 夕方になり、雲も出てきて、ちょっ…

麦の秋

麦が収穫の時期を迎えている。一面、金色のようだ…と思って見ていた数日前、 今日は、更に金色に輝いていた。 日に日に、金が眩しく感じられる。 とても美しい光景。祈祷会では、様々なことをお祈りする。 個人のこと、教会のこと、震災復興のこと、日本のこ…

えごの花

えごの花は散り急いで、もう地に広がっていた。色が移ってしまったものも、白が鮮明なものもあって、 それぞれが触れ合いながら、地の上にこぼれていた。葵塚を右手に 巴塚を左手に えごの花を踏みつつ歩む、歴史古道。兵士も、また、 ある者は追い、ある者…

紫陽花

2006年。今日は特別な日曜日。朝から落ち着かない。待ちに待ったこの日。私の洗礼式の日だ。大変珍しいことと思うが、 私が受洗した教団は、聖書にあるように、洗礼は海へ入る。6月4日 ペンテコステ(聖霊降臨日)女性牧師と二人、祈りながら波へ足を踏み入…

シロツメクサ

シロツメクサの匂う、空き地の横の道。 手紙が落ちているのに気付いた。封はしてなかった。 差しだし人の名前に見覚えがあり、 手に取ると、やはりその人だった。投函前の手紙なので、早速、そのままお届けする。教会の仲間であり、俳句の仲間。 このような…

銀漢

俳句結社「雉」HPプロジェクト・リーダー、 佐保光俊さんの第一句集。 『銀漢』 佐保光俊最初、タイトルを 『銀漢』 と伺った時、 Milky Way ね…と、 かなりロマンチックなものを思い浮かべておりましたが、 なんとも男臭くて、驚いてしまいました。日頃は…

郭公(かっこう)

金沢市にチカモリ遺跡というのがあって、 縄文時代の環状木柱列が復元されて、史跡公園になっている。ある夏に、市史編纂のための遺物の写真撮りを行った。最後に、環状木柱列を撮影することになったのだが、 大きさを確認するために、人を入れて撮ることに…